肺がんへの重粒子線治療が先進医療として行われているのは、以下の場合です。
疾患名 | 適応 | |
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1 | 転移および隣接臓器浸潤のない肺がん | 臨床病期Tis, T1-T4N0の原発性肺がん(隣接臓器浸潤によるT4を除く) |
2 | 所属リンパ節転移あるいは隣接臓器浸潤を有する原発性非小細胞肺がん、遠隔転移のない気管・気管支がん | 臨床病期TanyN1-3M0あるいはT4N0M0(隣接臓器浸潤) |
3 | 転移性肺腫瘍 | 少数転移性肺腫瘍(oligometastatic,3個以下) |
リンパ節や他の臓器への転移がない肺がんで、隣接臓器(横隔膜、縦隔、心臓、大血 管、気管、反回神経、腕神経叢、食道、椎体)への直接浸潤もないものが対象です。
治療期間は1日で終了することがほとんどですが、重要な臓器が近接していると3週間程度要することもあります。
リンパ節に転移がないかあっても胸部のリンパ節に止まっている場合で、遠隔転移がなく、胸水や心嚢水のない肺がんが対象となります。がんが隣接臓器に浸潤している場合も治療の対象となることがありますが、浸潤の状況で治療を行うことが危険な場合は治療ができません。
治療は16回照射(4週間)を行っています。
転移性肺腫瘍とは別の場所にできたがんが肺へ転移して発育したものをいいます。肺の細胞が発がんしたがん(原発性肺がん)と区別して転移性肺腫瘍とよんでいます。
重粒子線治療の対象となるのは、原発巣が治療されていて、肺以外に転移がなく、肺転移の個数が3個以下の場合です。
疾患名 | 期間 | 例数 | |
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1 | 転移および隣接臓器浸潤のない肺がん | 1994-2017 | 700 |
2 | 所属リンパ節転移あるいは隣接臓器浸潤を有する原発性非小細胞肺がん、遠隔転移のない気管・気管支がん | 1995-2015 | 141 |
3 | 転移性肺腫瘍 | 2003-2015 | 83 |
Ⅰ期肺がんに関しては宮本ら※1の5年生存率45%や1回照射線量増加試験について山本ら※2の5年生存率56%の報告があります。進行肺がんについては高橋ら※3の2年生存率52%がありますが、最近の成績を報告した林らの論文が予定です。転移性肺腫瘍全体については山本ら※4による2年生存率71%、高橋ら※5の大腸がん肺転移34例の報告2年生存率65%があります。
※1 Miyamoto T, et al.: J Thorac Oncol. 2007;2:916-926.
※2 Yamamoto N, et al.: J Thorac Oncol. 2017;12:673-680.
※3 Takahashi W, et al.: Cancer. 2015;121:1321-1327.
※4 Yamamoto N, et al.: Pulmonary Medicine. 2013;219746, 6.
※5 Takahashi W, et al.: Radiation Oncology. 2014;9: 68.