医師向け
手術不能肺野末梢型Ⅰ期非小細胞肺癌に対する重粒子線治療の有効性および安全性を多施設共同臨床試験で評価する。
重粒子線は線量集中性に優れており、生物効果も高い放射線ですので、肺癌の治療にも適した放射線であると考えられます。これまで、放医研において千葉大学をはじめとする多くの呼吸器外科、呼吸器内科医師の協力の下、肺癌治療における重粒子線治療の有用性を実証するための臨床研究が行われてきました。
その結果、特にI期非小細胞肺癌において良好な局所制御率および生存率が得られること、また、放射線肺臓炎などの副作用発生率も低いことが示されています。この結果は、群馬大学重粒子線医学研究センター、九州国際重粒子線がん治療センターなどの追随する施設においても再現されています。
今回、これらの事実を前向きに証明し、保険収載申請のためのエビデンスとするために、手術不能肺野末梢型I期非小細胞肺癌に対する多施設共同臨床試験を行うことになりました。主要評価項目は3年生存割合ですが、費用対効果の解析にも対応するために、有害事象やQOL評価も行っていく予定です。
非ランダム化、単アーム、多施設共同、定位X線治療をヒストリカルコントロールとした検証試験。
3年全生存割合。
肺葉切除不能肺野末梢型Ⅰ期非小細胞肺癌患者。
医用重粒子線加速器および照射装置を用い、1日1回以下の線量分割で行う。