国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
QST病院

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食道がん

食道がんに対する重粒子線治療について

適応症

食道がんへの重粒子線治療が先進医療として行われているのは、以下の場合です。

疾患名適応
1食道がん臨床病期I期の原発性食道がん

● 臨床病期I期の原発性食道がん

リンパ節や他の臓器への転移がない粘膜下層までの食道がん(組織型問わない)が対象です。
化学療法は併用せず、重粒子線単独での治療を行っています。治療期間は12回、約3週間です。

治療実績

疾患名期間例数
1臨床病期I期の原発性食道がん2012-202238

1.臨床病期I期の原発性食道がん

当院における2012年から2022年までの実績1)として、I期(T1bN0)の食道がん患者さん38名の治療解析結果をご報告します。
治療成績としては、治療から5年後に病変が制御されている割合(局所制御率)が74.4%、5年生存率が78.9%という結果が得られました。 安全性に関しては、治療中や治療直後に見られる反応として、一部の患者さん(8例)に強い食道炎(グレード3)による痛みや嚥下障害が認められましたが、通常の化学放射線療法で懸念されるような、心臓や肺への重篤な後遺症・合併症は発生していません。
当院の重粒子線治療は、「抗がん剤を併用しない」「3週間・全12回という短期間で完了する」「心肺への被ばく線量が少ない」という特徴があります。そのため、ご高齢の方や他の持病がある方など、体力的な面で手術や化学療法が困難な患者さんに対しても、体に優しい有用な治療法であると考えられます。

1) Isozaki T, et al. Outcomes of definitive carbon-ion radiotherapy for cT1bN0M0 esophageal squamous cell carcinoma. Esophagus. 2024;21(4):523-529.